バスケットボールのゴールの高さには、細かい規定があることをご存知でしょうか。
バスケットボールは学校の部活動でも人気があり、今年夏開催の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の予選が沖縄で開催されることが決まり話題になるなど、昔から根強い人気のあるスポーツです。
そんな人気の高いバスケですが、実はバスケットリングまでの高さやバックボードの大きさなどは、意外と知られていない細かい数字があります。
また、ゴールまでの高さが決められた理由には、歴史的な背景もあります。
本記事では、公式で決められたバスケットゴールの高さなどについて詳しく解説します。
公式のバスケットゴールの規格サイズ
公式のバスケットボールのルールで使用される、リングまでの高さやボードとリングのサイズについては以下のようになっています。
バスケットリングまでの高さ
一般公式 | 305cm |
ミニバス | 260cm |
バックボードの大きさ
横幅180cm×高さ105cm (交差20mm~30mm以内) |
リングのサイズ
45cm(内径45cm、外径48.5cm) |
バスケットリングまでの高さ以外は一般公式もミニバスも共通しており、一般的には中学生以上から一般公式のサイズを使用します。
バスケットリングまでの高さ
バスケットリングまでの高さは一般公式とミニバスで異なり、一般公式は305cm、ミニバスはそれよりも45cm低い260cmとなっています。
小学校では主にミニバスが多く、中学校以上になると一般公式のバスケットゴールの高さになります。
最近では小学校でも305cmのゴールが設置されているところもありますが、小学生の身長でゴールを決めるのは難しいため、260cmのミニバスが主流となっています。
また中学生にとってはプロが使用している高さと同じになるため、小学校から上がったばかりでいきなり45cmアップするのはやや厳しいかもしれません。
慣れるまでは練習が必要となりますが、ゴールによっては高さを段階的に調節できるものもありますので、少しずつ変えていくのが良いでしょう。
バックボードの大きさ
バスケットボールで使用されているバックボードの大きさは横幅180cm、高さ105cmと決まっています(交差20mm~30mm以内)。
またバックボードの内側の四角は「ウインドウ」という名前で、実は意外と知られていません。
ウインドウにも規格があり、横幅59cm、高さ45cmと決められています。
ちなみに、バックボードに使われる素材は、主に紫外線や雨などの劣化に強いポリカーボネートと、軽量でありながら強い強度を持つ強化プラスチックの2種類があります。
ポリカーボネート製ボードは高級素材のためコストがかかり、ライフタイム社製バスケットゴールの高級モデルに採用されています。
また、バスケットボールの初期はバックボードが付けられていませんでした。
観客がリングの後ろからボールを触ってシュートを阻害してしまうことが多発したため、取り付けられたと言われています。
リングのサイズ
ゴールリングのサイズは、一般公式もミニバスもともに同じ45cm(内径45cm、外径48.5cm)です。
その他にも、公式ではリングは鋼鉄製のもの、リングの太さは直径16mm以上、最大20mm、リング内周のバックボードの表面までの距離は151mmなど細かい規定があり、いずれも一般公式、ミニバスともに共通となっています。
ボールの直径が7号サイズ(約24cm)だと2個分よりはやや小さく、ミニバスで使用される5号サイズ(約22cm)だと約2個分の大きさになります。
そう考えるとリングのサイズは意外と大きく感じますが、ゴールの高さを考えるとシュートを決めるのは容易ではありません。
そのため、NBAの大会ではシュートを決めやすくするために7号よりも小さい5、6号のボールを使用することもあるそうです。
バスケのゴールの高さが決まった理由
バスケットボールのゴールの高さは誕生時から305cmであり、現在までその高さは変わっていません。
その理由としては、初めてバスケの試合が行われた時、体育館の2階席にゴールを取りつけており、その高さが床から305cmであったため、正式なルールとして決められました。
当時はとにかく得点が入らないように、できるだけ高いところにゴールを設置した限界が305cmだった、とも言われています。
また、当時は大人向けのスポーツであり、まだミニバス用のリングの高さには規定がありませんでした。
ミニバスはバスケットボールの歴史が進んでいく中で、子どもの体格や体力に合わせて、通常よりもボールは小さく、コートは狭く、ゴールは低くミニサイズに設定されました。
バスケットゴールの高さは何フィート?
さて、バスケットゴールの高さをフィートに変換すると何フィートになるでしょうか。
1フィートは30.48cmであり、一般公式は305cmのため10フィート、ミニバスは260cmのため8.5フィートとなります。
メートル法では305cmと中途半端な高さに見えますが、ヤードポンド法だと10フィートというきっちり割り切れる数字になります。
本場がアメリカであることから、キリの良い10フィートに設定したと言われています。
バスケットゴールの高さは中学生と高校生は違う?
バスケットゴールの高さは中学生以上になると、一般公式と同じ305cmになります。
よって、中学生と高校生で高さは同じになります。
しかし、中学校に上がったばかりの中学1年生にとって、小学校時代のミニバスからいきなり45cmも高くなれば、シュートを決めるのは難しいのかもしれません。
もしシュートが決まらなければ、最初は低めに設定して、徐々に公式と同じ高さに調節していったり、軽いボールを使って練習したりなど、工夫が必要となります。
バスケのゴールの高さは男女で違う?
では、バスケのゴールの高さに男女の違いはあるのでしょうか。
答えとしては「ノー」です。
どちらも一般公式と同じ高さの「305cm」になります。
中学生と高校生同様、体格差がある男女ではシュートの決めやすさに違いがあるかもしれません。
その分、ジャンプ力や体の身軽さでカバーしているとも考えられます。
ちなみに、男女で唯一異なるのはバスケットボールのサイズのみになります。
こちらについては、後ほど詳しくご説明いたします。
バスケのリングの高さはNBAも同じ?
NBAのリングの高さは10フィート(305cm)です。
しかし、あくまでもフィートが基準になっているため、厳密には304.8cmとなります。
FIBAはメートル法で305cmであるため、微妙な差ではありますが0.2cm低い高さになるのです。
この差が実際の試合で影響があるのかは分かりませんが、もしかしたら歴戦のプロの人たちなら少しの高さの違いにも気づいてしまうかもしれませんね。
もし試合を見る機会があれば、微妙な高さの違いにも注目してみると良いかもしれません。
バスケットゴールの高さはオリンピックとパラリンピックで違う?
では、オリンピックとパラリンピックでゴールの高さは変わるのでしょうか。
バスケのパラリンピックは全員車いすバスケとなります。
なんとなく、車いすに座って行うことから、高さが変わるようなイメージがありますよね。
しかし、実際のところ高さに違いはありません。
オリンピックもパラリンピックも、どちらもゴールの高さは同じ305cmとなるのです。
車いすの高さからシュートを決めるのは容易なことではありませんし、かなりの腕力やテクニックが必要となります。
ちなみに、パラリンピックならではの技として、ジャンプができない代わりに車いすの片輪を上げて高さを出す「ティルティング」という技術があります。
ティルティングを行うことでシュートを決めやすくなりますが、片輪のみでバランスをとるため、卓越したボディーバランスがないと難しくなってしまいます。
今後パラリンピックを見る機会がある時は、独自ルールや技に注目してみるのも面白そうです。
バスケットゴールの高さは小学校以下は違う
ここまでバスケットゴールの高さについてご説明してきましたが、高さは基本的に中学生と高校生、男性と女性、オリンピックとパラリンピックで違いはなく、全て共通して一般公式と同じ高さの305cmでした。
では、小学校以下はどうなるのでしょうか。
前述にもある通り、小学校以下はミニバスとなるので、ゴールまでの高さは260cmと低くなります。
そもそもミニバスができた背景には、1964年の東京オリンピックを境に青少年の体力不足が深刻な問題として扱われ始めたことがきっかけとなります。
小学校の学習指導要領にバスケットボールが組み込まれ、本格的に指導されるようになり、次第にミニ・バスケットボール、通称ミニバスが全国的に広まりました。
ちなみに、当初はミニバス用のゴールが存在しなかったため、一般用のゴールにミニバス用のゴールを即席で取り付けて使用されたこともあったそうです。
バスケットゴール高さ調節簡単にできる商品はコレだ!
ここでは、タイプ別に簡単に高さ調節ができる商品をいくつかご紹介します。
テレスコープ方式
高さ調節つまみで好みの高さに調節するタイプの商品です。
ボルトを抜く人、つまみを動かす人の最低二人必要です。
高さ範囲:約229~305cm(7.5~10フィート)
クイックアジャスト方式
棒状のものでボードを押し上げることで高さ調節が可能です。
高さ範囲:約229~305cm(7.5~10フィート)
実は違うバスケットボールのサイズ
バスケットゴールのサイズは、基本的には一般公式とミニバスの二種類あることがお分かりいただけたかと思います。
それは、前述のとおり男女であっても変わりません。
しかし、唯一異なるのは「バスケットボールのサイズ」です。
ボールのサイズは最も小さい1号球から最も大きい7号球まで7段階あり、主に競技で使用されるのは7号球・6号球・5号球となります。
まず7号球は最も大きなバスケットボールで、一般男子・大学男子・高校男子・中学男子向けです。男子は中学生以上からこのサイズを使用します。
次に大きい6号球は、一般女子・大学女子・高校女子・中学女子向けとなります。
そして次に大きい5号球は、小学生用のミニバスボールで、おもにミニバケットで使われます。
ちなみに、ストリートバスケットから競技になった3×3(スリー・バイ・スリー)用のボールというものも存在します。
サイズは6号球、重さは7号球相当という特殊なボールで、3×3でしか使用されません。
まとめ
この記事では、バスケットゴールの高さについて詳しくご紹介しました。
・一般公式は305cm、ミニバスは260cm
・中学生以上が一般、小学生以下がミニバス
・バックボードの高さは横幅180cm、縦幅105cm
・リングのサイズは45cm
・中学生と高校生、男性と女性、オリンピックとパラリンピックは全部一般公式と同じ高さ
・ボールのサイズは中学男子以上7号、中学女子以上6号、ミニバス5号
バスケットゴールの高さ一つにしても、様々な背景があって今に至ったと考えるとなんだか奥深いものですね。
次に見たときはまた違った見方ができるかもしれません。
本記事が、バスケットゴールの高さについて理解を深める後押しになれば幸いです。
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